「協議事項分析」 第1回

イランで不正と失業に抗議するために同国の都市マシュハドで始まった抗議デモは、ニシャプール、エマールムード、ケルマンシャー、ラシュト、ヤズド、ガズヴィーン、ザーヘダーン、アフヴァーズその他多くの都市に飛び火しました。抗議デモでは、最初は政府への批判の声が上がっていましたが、その後、革命の指導者ハメネイ師をはじめ、政治的権威や政権が標的にされるようになりました。シーア派の重要な地域で「ハメネイ師は出ていけ、ヒズボラは出ていけ」というスローガンが発せられました。抗議デモとそれに関連して起こった事件で何百人もの人

「協議事項分析」 第1回

本来の問いは、イランで今後何が起こるのか?ということです。抗議デモは広がり続けるのでしょうか、終わるのでしょうか?

一般的に、イラン国内のバランスを見ると、2つの重要な問題があることがわかります。悪化する経済と内政です。

ロウハニ政権とハメネイ師の間で続く闘争は、最近実施された選挙の後に次第に激化しています。ロウハニ大統領の側近とイラン革命防衛軍に向けた相互への不正の非難は、イラン国民のイラン国家への信頼を著しく損ないました。イランに対する制裁や悪化する政権運営が不正と結びつき、イラン経済はさらに停滞しました。豊富な石油と天然ガス資源があるにもかかわらず、国民の所得は5000億ドル(約56兆円)から3500億ドル(約40兆円)に後退しています。同国には深刻なインフレと失業問題があり、インフラは整っておらず、大気汚染や干ばつも発生しています。外交政策では、膨張政策が取られ続けています。レバノン、イエメン、シリア、イラクでは大きな経済負担が生じたとはいえ、大きな利益も得られました。しかしこの地政学的利益は一般市民にとっては重要ではないようです。

イラン国内の抗議デモにおいて注意を引く問題の1つは、民族的な高揚をめぐるデモです。

アフヴァーズ地方のアラブ人、イラン東部のバロチ族、イラン西部のクルド人、イランのトルクメン人の地域で行われた抗議デモで、一部のグループとデモ参加者がイラン政府に抗議した理由には、民族的差別があるとみられています。

イランにおける抗議デモの根底に内政問題や国民の不満があるとはいえ、抗議デモには国際的な側面もあります。イラン国家は、抗議デモで人々を殺害したのは外国のスパイだと主張しました。アメリカのドナルド・トランプ大統領がツイッターでイランの抗議デモを支持すると発表したことも、国家機構の外部勢力の介入説を強化しています。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相も、イランの抗議デモに対し大いに満足しています。

トルコの外務省は発表を行い、友好国であり兄弟国であるイランが社会的平安と安定を保護することは非常に重要だと伝えました。発表では、「この関係で、ロウハニ大統領が、国民が平和的なデモを行う権利を認めるものの、法を蹂躙してはならず、公共財に被害を与えてはならないと発表したことを尊重し、暴力を避け、挑発に乗らないことが重要だ。一刻も早くイランに平安が訪れ、常識が通じるように。そして事件が激化するのを防ぎ、その進展への挑発的な発言や外部勢力の介入を阻止するよう望む。」と伝えられました。トランプ大統領が湾岸諸国の歴訪の後に特にイランに対抗しようとしてサウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーン、イスラエルと共同戦線を作り上げており、イランでの抗議デモを細心の注意を払って追っているのがわかります。

事実、イラン国家も長年にわたり、国内で起こった多くの問題の原因は外部勢力だと述べてきました。イランのエスハーグ・ジャハンギーリー第一副大統領はその演説で、「経済問題が他の問題の口実にされている。その背後には様々なシナリオがある。」と語りました。ロウハニ政権の公式通信社の新聞社も、新聞の最初のページに掲載された論文で、「一部の者が、国民を、その目的を達成するための道具にしている。」と伝えました。イランの宗教指導者アーヤトゥッラー・ハメネイ師はこの関係で、「我々の敵が、イランを混乱に陥れるために金、武器、スパイを利用している。」と言葉をくくりました。

しかし、国際世論におけるイランの敵が、この抗議デモのイラン国民にとってこそ通用する理由であるということをごまかしてはなりません。イランにおける経済問題が原因で、当初から小規模の抗議デモが行われてきました。豊富な天然資源があるにもかかわらず、イランの人々は次第に貧しくなっています。また、ここ最近、政府と関連がある一部の株主が所有する金融機関が破産し、何百万人もの人々が損害を被ったことで抗議デモが煽られているようにみえます。

また、抗議デモでは、「国家の資金をシリア、ガザ、レバノンのために費やすのを止めよ」「国民は物乞いをする身にまで堕ちた」「シリアではなく我々に目を向けよ」「ガザでもレバノンでもなく、愛するイランのために貢献する」「くたばれヒズボラ」などのスローガンから、イラン国家の中東における膨張政策に対し抗議デモ参加者が不満を抱いているのがわかります。イランは一方で経済問題に悩みながら、一方では中東における膨張政策を行ってきました。イランで膨張政策を不満に思う人々の階層がいることは以前から知られていました。シリアで戦うイランの民兵にあてがわれる資金は、同国に暮らす多くの国民の給与を上回っています。

さらに、「イスラム共和国はいらない」「独立、自由、イラン共和国」といったスローガンから、抗議デモ参加者がイランの抑圧的な政権のことも不満に思っているのがわかります。抗議デモでイランの革命リーダー、レザー・シャー・パフラヴィーに祈りが捧げられていることは、この流れからすると皮肉です。世界的なコミュニケーションや通信手段により他の国々を観察しているイラン国民は、特にトルコのようなイスラム国家と、自身の生活スタイルや生活基準を比べています。

結論を言えば、イランでの抗議デモを刺激する要素は数多くあります。自由と経済的繁栄を模索する中、イランを標的にする外部の国々の目論見もあるのです。イランでの進展へのトルコのアプローチは、両方の事実を見据えるバランスを保っています。

政治経済社会研究財団研究員ジャン・アジュン氏の見解をお伝えしました。


キーワード: 協議事項分析

注目ニュース