「協議事項分析」 第2回

政治経済社会研究財団・ジャン・アジュン研究員著

「協議事項分析」 第2回

私たちは、欧米を中心とした世界システムが少しずつ崩壊しているものの、まだ新たなシステムが取って代わっていない、混沌とした時代を生きています。世界の秩序のもとに混沌とした時代を反映するこの時期は、トルコにとっては大きな挑戦であるとともに、チャンスももたらしています。トルコの外交政策は、この混沌とした時代に適応しようと努めています。トルコがここ数年でロシアなどの台頭しつつある勢力と良好な関係を築こうと尽力しているのが見受けられる中、欧米諸国内部の分裂からも利益を引き出そうとしていることもわかります。特にアメリカとの関係が緊張している時期に、トルコがフランスやイギリスなどの国々とそれぞれ関係を強化していることが見受けられます。

この関係で、レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領のここ最近行われたフランス訪問は、また違った重要性を持ちます。この訪問の内容で、トルコの欧州連合(EU)との関係や防衛産業における協力活動にとっても、重要な進展が見られたことを強調する必要があります。

ここ数年、トルコのEU加盟交渉は、トルコが特に国民投票におけるドイツの偏った姿勢が原因で行き詰りました。欧州議会がトルコの加盟を却下するよう要請したことが欧州連合理事会によって否決されたとはいえ、それは重要な指標となりました。フランスのマクロン大統領は、EUともトルコともトルコのEU加盟交渉におけるダブルスタンダードをやめ、加盟の変わりにパートナーとしての活動が必要だと述べました。特に2016年7月15日のフェトフッラー派テロ組織によるクーデター企て未遂事件の後に緊張した関係において、クーデター企て参加者の逮捕を言い訳にしたEUは、トルコに対しドイツよりも緊密なフランスを通じて新たな協力活動について議論するようになりました。政治の極右の潮流、経済危機、イギリスのEU離脱により問題を抱えるEUは、トルコとイギリスを通じて新たな協力活動を発展させようとしています。ドイツのジグマール・ガブリエル外務大臣は、イギリスの例はトルコにとって代わりの選択肢となり得ると述べました。

一方、トルコにとってフランス訪問が重要になったことに関するもう2つの要素があります。1つ目は、政治同盟の多様化、2つ目は防衛産業における協力活動の拡大です。

トルコとアメリカの関係は、トランプ大統領が(一部の国や地域ではエルサレムと呼ばれている)クドゥスをイスラエルの首都と認定した後に大きく緊張しました。トルコの主導により国連でアメリカに対抗する歴史的な決議が採られたことで、当事者間の緊張はさらに高まっています。アメリカとの関係が緊張している時期にトルコは外交政策において欧米諸国における同盟を多様化させるために行動を起こしました。EUでオランダとドイツとの関係に問題が生じた時期にイギリスとフランスとの関係を維持したトルコは、世界中の役者の間でバランス政策を取り、自国の利益を最大限に引き出しています。イギリスのEU離脱決議をめぐり、フランスとドイツが力を持つEUにおいて、ドイツに比べてトルコとの関係を合理的な土台において進展させる必要があると考えるフランスとトルコの関係は、良い方向で続いています。トルコにとってフランスとの協力体制は、トルコに対するここ最近のドイツの後ろ向きな姿勢の代わりとみなされています。

フランス訪問のもう1つの重要な面は、防衛産業における協力体制です。ユーロサム(EUROSAM)コンソーシアム協定が、エルドアン大統領とマクロン大統領の前で締結されました。イタリアもパートナーとなっている地対空ミサイル防衛システムプロジェクトは、トルコにとって大きな重要性があります。ロシアからのS-400地対空ミサイル防衛システム購入協定を完了したトルコは、同時に北大西洋条約機構(NATO)の同盟国とも別の地対空ミサイルシステムの開発に取り組んでいます。こうして領空を複数のシステムにより防衛することを目指すトルコは、あらゆる面からの危険に備えて対策を講じていることになります。

防衛産業で最近重要なプロジェクトの数々に署名したトルコは、国際的な外交政策における同盟を多様化させる政策を、防衛産業にも反映させています。ドイツとアメリカの長い間続いている防衛産業における協力体制が政治的圧力の道具として両国に利用されるのを防ぐため、トルコは、イギリス、フランス、ロシア、ウクライナ、パキスタンその他の国々との協力体制を発展させ、また国防産業を強化しつつ、外部への依存を減らしています。

エルドアン大統領のフランス訪問においてこれまで述べてきた事柄のほか、多くの協定も締結されました。トルコ・エクシム銀行とフランス公的投資銀行の間で相互再保険協定が締結されました。また、エアバスとターキッシュエアラインズとの間で、20+5のオプションつきのA350-900機の購入に関する会談の開始に向けた覚書が署名されました。

結果として、トルコは欧米諸国の内部の分裂から利益を引き出して新たな同盟ネットワークを築き、自国の利益を重視する活動を続けています。この活動により、トルコはアメリカやドイツなどの国に対し、さらに強力な国となっています。


キーワード: 協議事項分析

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