「トルコの窓から見た中東」 第10回

アラブ連合のシリア問題に対する姿勢

「トルコの窓から見た中東」 第10回

イスマイル・ヌマン・テルチ助教著

第二次世界大戦の後の時期に国際機関は世界的な政治の重要な主役となり始めました。この過程でアラブ諸国が直面する問題に共同で取り組む目的で1945年に設立されたアラブ連合が、特にここ数年多くの地域問題において失敗した取り組みのために、アラブ世論からの敬意を失っています。地域問題の解決の模索において影響力を失ったアラブ連合が中東地域における政治的・経済的・世界的な協力活動を発展させられなかったことも、連合の存在理由が疑われる理由となっています。

特にイスラエルのパレスチナにおける占領政策に対し、アラブ諸国を団結させて対抗するよう促す構造を作り出さなかったアラブ連合は、2017年6月に湾岸諸国の間で始まった危機が深まることに対しても沈黙を守っています。アラブ連合が解決を見出すのに苦労しているもう1つの問題は、シリアで続く内戦だと言えます。何十万人もの人々が死亡し、何百万人もの人々が他国に移住せざるを得なくなったことを傍観しているアラブ連合は、現在では機能不全に陥った構造になってしまっています。アラブ連合のシリアをめぐるこの姿勢は、先日、外交的な議論として国際メディアに取り上げられました。アラブ連合事務総長は、ミュンヘン安全保障会議の際にシリアのアフリン地域に向けたトルコの軍事作戦を批判し、「トルコ政府はアラブの地域に介入している」と強調して汎アラブ主義的発言を行い、同じパネルの演説者だったトルコのメヴリュト・チャウショール外務大臣の厳しい反発に遭いました、エジプトの外交官のアフマド・アブー・アル・ゲイト氏の質問に対する回答でチャウショール大臣は、アラブ連合がシリア政権の政策を傍観している中トルコを批判するなどということは場違いであると述べました。アラブ連合の加盟国の指導者が化学兵器を使用し、50万人の人々を殺害したことを連合は阻止できていないと強調したチャウショール大臣は、「連合は、シリアで軍事作戦や攻撃を行っているアメリカその他の欧米諸国に対しては沈黙を守っているのに、トルコを批判するなどということは容認できない」と述べました。チャウショール大臣のこの正当な批判をより良く理解するためには、アラブ連合がどんな失敗をしてきたかの歴史的な分析をすることが妥当です。

アラブ諸国同士で協力活動を拡大し、地域的な脅威と共闘する目的の一環として一堂に会したエジプト、イラク、シリア、レバノン、サウジアラビア、ヨルダンが1945年に設立したアラブ連合は、時とともに新たな加盟国も加えて22か国の加盟国による地域的な機関となりました。アラブ連合は経済的・文化的な意味で限られた協力活動を行ってきたとはいえ、政治的には、設立時に定められた目標に達することができていません、この状況の最も明確な指標は、アラブ連合がパレスチナ問題の解決の模索において影響力を持っていないことです。

設立当初から、イスラエルの政策に対する発表を行っているものの、何らかの制裁力を持たない決議を行ってきたアラブ連合は、加盟国の間の異なる利益や議題のために、お互いをけん制する共同の政治を発展させることができていません。この状況は、最も単純なものとしては、1948年にイスラエルに対し開始されたボイコット運動において見て取れます。アラブ連合がイスラエルに対し開始したボイコットの決議は、年月が経つにつれて加盟国の多くから重要視されなくなりました。1979年と1994年にイスラエルと和平協定を結んだエジプトとヨルダンは、この協定の後にボイコット運動を終了し、またヨルダン川西岸のパレスチナ政府も1993年にイスラエルと結んだ協定に従ってボイコット運動を終了しました。1996年に採択された決議により、湾岸諸国協力評議会の加盟国は、イスラエルをボイコットすることは地域の和平を妨害するという理由で、そもそも制限付きで参加したボイコット運動を、公式に終了しました。

アラブ連合が問題の解決や協力活動においてどれほど大きな失敗をしてきたかは、2010年に始まったアラブの春の過程でよりはっきりと見て取れます。アラブ連合は、シリアとイエメンで続く内戦において平和的な解決の模索で影響力を持ちませんでした。

地域諸国の間で協力活動を増やす目的を持っていたアラブ連合は、現在この目標から遠ざかってしまっています。この状況の別の指標は、昨年6月に始まった湾岸危機の繋がりで起こった進展です。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンがカタールに対し開始した政治的・経済的制裁に、アラブ連合で最も強力な国であるエジプトも加わりました。加盟国間の政治・経済・文化・社会的協力を増やす目的を持っていたはずのアラブ連合は、この4か国がカタールに向けて開始した制裁に対しても沈黙を守りました。結果として、現在の政治的繋がりにおいて、アラブ連合が機能不全に陥った組織であると強調することが妥当です。世界的な民主化が広まっているこの時期に多くの国の権威機構から成るこの連合の正当性は、真剣に問われるべきです。

この状況は2016年に起こった進展により、さらに明確に見えてきます。アラブ連合が27度目として開催する年次会議の開催国となる予定のモロッコが、「連合加盟国の間の見解の相違」を理由にこの決議を離脱したことで、地域の諸政府の間に衝撃が走りました。モロッコ外務省からこの件について行われた発表で、「これより前の年に採られた会議の類似の決議が承認され、アラブ諸国の間に本来は存在しない協力体制があるとの誤った認識を生み出す手助けをしてしまう」と伝えられた一方、「アラブ諸国の指導者はお互いの見解の相違と折り合うべきである」ということが強調されました。3月に開催される予定だった会議は、モーリタニアが開催国となることを承認したことを受けて、7月に開催することができました。

これらの進展のもとで検討すると、アラブ連合事務総長のアフマド・アブー・アル・ゲイト氏がトルコのアフリン作戦に対し反発したことは、連合の姿勢を代表するものではなく、個人的なアプローチとみなされるべきです。シーシー政権と同盟を組んでいるエジプトの元政府の主体が、トルコ政府が2013年にエジプトで起こったクーデターに対し確固とした姿勢を貫いたことで、事あるごとにトルコを批判しにかかることは、ゲイト氏のアフリン作戦に関する発表の背後にある基本的な動機によるものとしてみなされるべきです。



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